息子がバイトを始めました。
飲食店です。
家では皿洗いの一つもできない。脱いだパンツもきちんと洗濯カゴに入れられない。そんな息子が、人様のところでちゃんと働けるのかどうか。大いに大いに不安ではありますが、とにもかくにもバイトを始めるということになりました。
飲食店の家で育った息子です。
子どものころからお客さんが来るという状況には慣れていて、知らない人が来てもわりと愛想よくはできるようにはなっています。飲食店のホール勤めということですから、その育ちがうまく生きてくれるといいなと、親としては思います。
時給を聞いたら、当店のスタッフさんに払っているよりよくて、かなり複雑な気持ちになりました。
正直、時給のいいところを探していたようです。
親としてはついつい「時給だけじゃなくて、その店の雰囲気とかもよく見なさいよ」なんて言ってしまいます。が、しかし。自分のことを振り返ってみると、息子に何か言える義理はあまりない気もしてくるのです。
南国フルーツ売り場に立たされた、福島の少年
私が初めてしたバイトは大学生になってから。
息子よりも3年も後のことです。多分一番最初にやったのは、高校野球の試合を見てスコアブックをつけ、それを新聞社にスポーツ面の統計情報として渡す、というような仕事でした。私は高校時代ソフトボール部だったので、スコアの付け方も分かっていましたから、これは選びました。
そのころに決めたバイトの一つに、スーパーのバイトがありました。
最初は裏方として採用されたはずです。おそらく品出しか何かでしょう。
ところが当日行ってみると、果物売り場のスタッフが今日は休みなので代わりに出てほしいと言われ、急遽そちらに回されました。
果物と言ってもその時たまたまやっていたのが、南国の果物を集めた特集コーナーみたいなものです。
そこにはキウイフルーツやらパパイヤやら、南国のフルーツが並んでおりました。福島の田舎から都会に出てきたばっかりの私には、どれもこれも食べたことがないものばかり。パイナップルは缶詰では食べたことがありましたが、生のパイナップルを食べたことがあったかどうか、危ないところです。
それなのに、売り場に来たおばちゃんが「これ、甘いの?」と聞いてくるもんですから。
ポンポン、なんてパイナップルを叩いてみて。
「これは十分いけるよ」
なんて答えたりしてたもんです。
スイカでもあるまいし。
それでも私が、その手のスーパーの果物売り場に似合いの割烹着みたいなものを着てたもんですから、おばちゃんはすっかりちゃんとした売り場の人だと勘違いしてくれて、「へー」なんて言いながら買っていってくれたのでした。
アボガドってどんな味?
その日、当時はまだ珍しかったアボカドも置いてありました。40年前です。
私は何せ福島の田舎から出てきたばっかりの少年でしたので、アボカドなんて食べたことがありません。それなのにおばちゃんが「ねぇ、これどんな味がするの?」と聞いてきたら、知っているわけがありません。
なのに「知らない」なんて言えるわけありません。
なんせプロの売り場の人ですから。
そこで「これね、甘酸っぱいよ」なんつって、かなりテキトーな答えでしのぎました。だって、南国のフルーツだと思ってましたし、南国のフルーツといえば甘酸っぱいものだと思ってましたから。
ところが、その晩、友達の家に行きまして。
確かその友達は北海道のお医者さんの息子だったもんで、まあボンボンだったんですよね。そいつに「アボカド、食ったことあるか」と聞いたら案の定食ったことがあって。
「刺身のトロみたいにしてさ、刺身醤油でつけて食うんだよ」
みたいなことを言ってきたのでびっくりでした。
電話してきたらどうしようかと思ったんですが、幸いその持ち場はその日限りで終わってくれたので、なんとか逃げ切りました。
こんな適当なことをやっていたお父さんです。
息子に大したことを言う義理もなく、ただただハラハラ様子をうかがうしかありません。
皆さんは、最初のバイトはどんなバイトでしたか?
よければお店で教えてくださいね。
長らくお待たせしました。お別れのお知らせです
さてさて。
ずっと「もうなくなる」「もうなくなるよ」っていう、なくなる詐欺みたいな感じで延々と出ていた、あれです。
パクチー豆腐です。
これ、本当になくなりました。
もうパクチーが手に入りません。
というわけで、パクチー豆腐は今年はもう、今季は姿を消すことになりました。長らくご愛顧いただきましてありがとうございました。
代わりのものはまもなく登場します。
もう何か決めてはいるんですが、準備が整っていないので、今しばらくお待ちください。
「お昼はスパイスカレー、夜はスパイスバル」のトラベラーズカフェ朔より。人と犬の顔と名前が覚えられない店長ハンザワ♂がお届けしました

